平成27年3月法語


(じょう)(こん)(しゃ)()(ほつ)()(さと)り 

()(だい)(じゅ)()二人(ふたり)()でて


(そら)(かけ)(かく)れつつ 

(はっ)(そう)(ぶつ)()りたまふ 


 

3月の法文の歌は、法華経譬喩品第三について詠まれた歌です。


大意は、

「高弟の舎利弗(舎利子)は、釈尊の一仏乗(法)の教えを聞いて、真っ先に悟ったので、

菩提樹果(悟りを得た)人が釈尊と二人になった。舎利弗は後に八相仏(八相成道・成仏)される。」

となります。


この「譬喩品第三」は、お釈迦様が舎利弗に対して

授記(お釈迦様が弟子に未来において仏となれることを保証すること)をされ、

舎利弗が大歓喜し心情を語るところから始まります。


舎利弗は、お釈迦様の弟子になる前は、当時のインドにおける懐疑派の哲学者でした。

それだけに先入観となっている相対的で合理的なものの考え方を取り去ることは容易ではなく、

舎利弗自身の厳しい修行と、お釈迦様の巧みな誘導により、悟ることができましたのです。


舎利弗の授記をお釈迦様が喜ばれて、舎利弗が空を翔り隠れつつ(遥かなる未来の形容)、

未来の世に「華光仏」という名の仏(如来)になると予言されたのです。


しかし、一乗(一仏乗)の法は、舎利弗以外まだ理解できません。

そこでお釈迦様は譬喩で説かれます。

それが「法華七喩」(法華経中の七つの譬喩)の第一「三車火宅喩」です。


「三車火宅喩」とは、

あるところに大金持ちがいました。ずいぶん年をとっていましたが、財産は限りなくあり、

使用人もたくさんいて、全部で100名ぐらいの人と暮らしていました。

主人が住んでいる邸宅はとても大きく立派でしたが、門は一つしかなく、

とても古くて、今にも壊れそうな状態でした。

ある時、この邸宅が火事になり、火の回りも早く、あっという間に火に包まれてしました。

主人は自分の子どもたちを助けようと探しました。

すると、子どもたちは火事に気付かないのか、無邪気に邸宅の中で遊んでいます。

この邸宅から外に出るように声をかけますが、子どもたちは火事の経験がないため

火の恐ろしさを知らないのか、言う事を聞きません。

そこで主人は以前から子どもたちが欲しがっていたおもちゃを思い出します。

羊が引く車、鹿が引く車、牛が引く車です。

主人は子どもたちに

「おまえたちが欲しがっていた車が門の外に並んでいるぞ!早く出てきなさい」

と叫びます。

それを聞いた子どもたちが喜び勇んで外に出てくると、

主人は三つの車ではなく、

別に用意した大きな白い牛が引く豪華な車(大白牛車)を子どもたちに与えました。

というお話です。


この「三車火宅喩」は、次のようなことを意味しています。

登場人物の主人が仏、子どもが我々衆生です。

邸宅の中(三界)に居る子どもは火事が間近に迫っていても、

目の前の遊びに夢中で(煩悩に覆われていて)その事に気付きません。

主人である父(仏)の言葉(仏法)に耳を傾けることはしません。

そこで、主人は三車(声聞乗・縁覚乗・菩薩乗の三乗の教え)を用意して外に連れ出し助け、

大きな白い牛が引く豪華な車(一乗の教え)を与えました。

つまり、われわれ衆生をまず、三乗の教えで仮に外に連れ出し、

そこから更に、これらの三乗の教えを捨てて一乗の教えに導こうとする仏の働き(方便)を

譬え話に織り込んで、説いているのです。

合掌